レッズのサッカーと柔軟性【遠藤航・世界への大航海】
済州戦で手にした確かな手ごたえ
「勝てる」という自信が生まれた根拠
AFCチャンピオンズリーグ、ラウンド16セカンドレグ。ホーム、埼玉スタジアム2002で行われた済州との一戦。
僕たちレッズがベスト8へ駒を進めるためには、最低でも3得点と無失点という命題がありました。1週間前のファーストレグ、アウェイの地で0対2と痛い敗戦を喫し、外から見れば突破はちょっと厳しいのではないか、という空気があったのかもしれません。実際、僕たち選手にプレッシャーがなかったかといえば噓になります。
でも「レッズのサッカーをすれば勝てる」という思いをチームの誰もが持っていたこともまた確かでした。
試合前、慎三さんが大きな声を出してチームを鼓舞しました。
「入りは大事にしようよ!」
陽介さんは落ち着いて攻撃のポイントを整理します。
モリ君や槙野君はいつものように明るく、力強く声を出し続け、僕は、「とにかく一点もやらない」その思いを胸にピッチに立ちました。
果たして、3対0。大逆転ともいえるベスト8進出でした。
この試合は、僕にとってレッズに来てからのベストマッチと言えるくらい強い印象を残しています。劣勢に対しあきらめることなく結果を覆したことや、普段は静かな慎三さんが短いながらも意志のこもった言葉でチームの雰囲気を作っていたこと、誰もがレッズのサッカーを信じていたことなど、その要因はさまざまですが、何より大きな手ごたえとなったのが「浦和のサッカー」がより質の高いものになっていくのではないか、と感じられたことでした。